エコキュートのヒートポンプとは?仕組み・寿命・故障原因・修理費用まで徹底解説

エコキュートの故障について調べていると、「ヒートポンプ」という言葉をよく目にするのではないでしょうか。

「ヒートポンプが故障しています。」

「ヒートポンプユニットの異常です。」

「ヒートポンプを交換する必要があります。」

このような説明を受けても、「そもそもヒートポンプって何?」と疑問に思う方も少なくありません。

ヒートポンプは、エコキュートがお湯を作るための最も重要な装置です。

人間でいう心臓のような役割を担っており、ここが故障すると新しくお湯を沸かすことができなくなります。

この記事では、ヒートポンプの仕組みや役割、寿命、故障しやすい症状、修理費用、交換を検討するタイミングまで、エコキュート開発に携わった経験も踏まえてわかりやすく解説します。


ヒートポンプとは?仕組みや寿命など
目次

ヒートポンプとは?

ヒートポンプとは、空気中の熱を利用して効率よくお湯を作る装置です。

エコキュートは電気だけで水を直接温めているわけではありません。

空気中にある熱を集め、その熱を利用してお湯を沸かしています。

この働きをしているのがヒートポンプユニットです。

そのため、ヒートポンプが正常に動作しているからこそ、エコキュートは少ない電気で効率よくお湯を作ることができます。


ヒートポンプユニットはどこにある?

ヒートポンプユニットは、貯湯タンクとは別に設置されている室外機のような機械です。

見た目はエアコンの室外機によく似ています。

実際に仕組みもエアコンと共通する部分が多く、内部では冷媒を循環させながら熱を移動させています。

一般的なエコキュートは、

・貯湯タンク

・ヒートポンプユニット

この2つが配管で接続されています。

ヒートポンプがお湯を作り、そのお湯を貯湯タンクへ送って貯める仕組みです。


ヒートポンプの仕組み

ヒートポンプは、次のような流れでお湯を作っています。

① 外気から熱を取り込む。

② 冷媒が熱を吸収する。

③ コンプレッサーで冷媒を圧縮する。

④ 高温になった冷媒が水へ熱を伝える。

⑤ 温められたお湯が貯湯タンクへ送られる。

このように、ヒートポンプは「熱を作る」のではなく、「空気中の熱を運ぶ」ことでお湯を作っています。

そのため、電気だけで加熱する給湯器よりも消費電力を抑えられるのが大きな特徴です。


エアコンとの違い

「ヒートポンプはエアコンと同じなの?」と思われる方もいるでしょう。

基本的な原理は非常によく似ています。

どちらも冷媒を利用して熱を移動させています。

ただし、目的が異なります。

機器熱の使い道
エアコン室内を暖めたり冷やしたりする
エコキュートお湯を作る

つまり、ヒートポンプはエアコンの技術を応用して、お湯を作る設備だと考えるとわかりやすいでしょう。


なぜ電気代が安いの?

エコキュートの電気代が安い理由も、このヒートポンプにあります。

一般的な電気温水器は、電気の熱だけで水を温めます。

一方、エコキュートは空気中の熱を利用するため、消費した電気以上の熱エネルギーを得ることができます。

そのため、同じ量のお湯を作る場合でも、電気温水器と比べて消費電力量を大幅に抑えられます。

この省エネ性能が、エコキュートが普及した大きな理由の一つです。


ヒートポンプはエコキュートの心臓部

エコキュートにはさまざまな部品がありますが、その中でもヒートポンプは最も重要な装置といえます。

例えば、リモコンやセンサーが故障した場合は、一部の機能だけが使えなくなることもあります。

しかし、ヒートポンプが故障すると、新しくお湯を作ること自体ができなくなるケースがほとんどです。

そのため、エラーコードでも「H系」のようにヒートポンプに関係する異常は、比較的重い故障として扱われることがあります。


管理人のワンポイント

私も以前、エコキュートのヒートポンプユニットの開発に携わっていました。

ヒートポンプは非常に耐久性が高い設計になっていますが、コンプレッサーやファンモーターなどの部品は長年使用すると少しずつ劣化していきます。

そのため、「異音がする」「エラーが何度も表示される」「お湯が作れない」といった症状が現れた場合は、ヒートポンプの不具合が関係していることも少なくありません。

故障の初期段階で点検を受けることで、大きな修理を避けられるケースもあります。

ヒートポンプの寿命はどれくらい?

ヒートポンプユニットの寿命は、一般的に10〜15年程度といわれています。

もちろん使用環境や使用頻度によって差はありますが、10年を超えると部品の経年劣化による故障が少しずつ増えてきます。

特に次のような環境では、通常より早く劣化が進むことがあります。

  • ・海沿いで塩害を受けやすい。
  • ・積雪地域で冬場の負荷が大きい。
  • ・周囲にホコリや落ち葉が多い。
  • ・1日に何度も大量のお湯を使用する。

一方で、設置環境が良く定期的にメンテナンスされているエコキュートでは、15年以上使用できるケースも珍しくありません。

寿命は年数だけで判断するのではなく、異音やエラーコードなどの症状もあわせて確認することが大切です。


ヒートポンプで故障しやすい部品

ヒートポンプユニットは一つの部品ではなく、さまざまな部品で構成されています。

そのため、「ヒートポンプ故障」といっても、実際には故障している部品はさまざまです。

代表的な部品をまとめると次のようになります。

部品役割故障すると起こる症状
コンプレッサー冷媒を圧縮する沸き上げ停止・H系エラー
ファンモーター空気を取り込む異音・能力低下
熱交換器水へ熱を伝える沸き上げ不足
冷媒配管冷媒を循環させる能力低下・エラー
温度センサー温度を測定するエラーコード表示
制御基板全体を制御する運転不能・誤作動

このように、ヒートポンプには多くの重要部品があり、それぞれ故障時の症状が異なります。


ヒートポンプが故障すると起こる症状

ヒートポンプが故障すると、お湯を作る能力が低下したり、まったく沸き上げできなくなったりします。

代表的な症状は次のとおりです。

お湯が出ない

もっとも多い症状です。

ヒートポンプが正常に動作しないと、新しくお湯を作ることができません。

タンク内のお湯を使い切ると、お湯が出なくなります。

お湯が出ない原因はこちら


お湯がぬるい

完全に故障していなくても、能力が低下していると設定温度まで沸き上げできないことがあります。

以前よりぬるく感じる場合は、ヒートポンプの能力低下が原因になっている可能性もあります。

お湯がぬるい原因はこちら


沸き上げが途中で止まる

夜間に沸き上げ運転をしても、途中で停止してしまうことがあります。

エラーコードが表示されている場合はもちろん、表示されていない場合でも点検が必要になるケースがあります。

夜間に沸き上げしない原因はこちら


異音や振動が大きくなる

ヒートポンプから

「ブーン」

「ガラガラ」

「キーン」

など、これまで聞いたことのない音がする場合は注意が必要です。

ファンモーターやコンプレッサーの劣化によって異音が発生していることがあります。

エコキュートの異音原因はこちら


エラーコードが表示される

ヒートポンプに異常が発生すると、自己診断機能によってエラーコードが表示されることがあります。

特にダイキンではH系エラー、三菱やパナソニックでもヒートポンプに関係するエラーコードが表示されることがあります。

エラーコードは故障箇所を特定する重要な手掛かりになるため、表示された番号を控えておきましょう。

エコキュート エラーコード一覧はこちら


ヒートポンプ故障でよく表示されるエラーコード

メーカーによってエラーコードは異なりますが、ヒートポンプの異常で表示される代表的なものには次のようなコードがあります。

メーカーエラーコード例主な内容
ダイキンH54コンプレッサー異常
ダイキンH59ヒートポンプ異常
ダイキンH7ファンモーター異常
各メーカー共通温度センサー異常沸き上げ制御異常

エラーコードだけで故障箇所を断定することはできませんが、原因を絞り込むための重要な情報になります。


故障したらヒートポンプ全体を交換するの?

「コンプレッサーが故障したなら、その部品だけ交換すればいいのでは?」と思われる方も多いでしょう。

しかし実際には、コンプレッサー単体ではなくヒートポンプユニットごと交換になるケースが少なくありません。

その理由は、冷媒回路が密閉されており、現場での分解・修理が難しいためです。

また、コンプレッサーだけ交換しても、ほかの部品が同じように劣化している可能性があり、再故障のリスクもあります。

そのため、故障内容や使用年数によっては、ユニットごとの交換が提案されることがあります。

ヒートポンプの修理費用はいくら?

ヒートポンプの故障といっても、実際には故障している部品によって修理費用は大きく異なります。

軽微なセンサー交換で済むケースもあれば、ヒートポンプユニット全体の交換が必要になるケースもあります。

おおよその修理費用は次のとおりです。

修理内容費用目安
温度センサー交換1〜3万円
ファンモーター交換2〜6万円
制御基板交換3〜8万円
冷媒漏れ修理5〜15万円
ヒートポンプユニット交換8〜20万円以上

※機種や故障内容によって費用は異なります。

また、夜間や休日の緊急対応では、別途出張費が加算される場合があります。

詳しい相場については次の記事でも解説しています。

エコキュート修理費用の相場はこちら


修理費用が高額になりやすいケース

次のような場合は、修理費用が高くなる傾向があります。

・コンプレッサーが故障している。

・冷媒回路に異常がある。

・ヒートポンプユニット全体の交換が必要。

・複数の部品が同時に故障している。

・設置から10年以上経過している。

特にコンプレッサーや冷媒回路の故障は、ヒートポンプユニットごとの交換になるケースも多く、修理費用が10万円を超えることも珍しくありません。


自分で確認できるチェックポイント

エラーコードが表示されたからといって、すぐに故障と決めつける必要はありません。

まずは次の点を確認してみましょう。

室外機の周囲に物を置いていないか

ヒートポンプユニットは大量の空気を吸い込み、排出しています。

吸込口や吹出口がふさがれていると能力が低下し、エラーの原因になることがあります。

ダンボールや植木鉢、自転車などが近くに置かれていないか確認しましょう。


落ち葉やゴミが詰まっていないか

吸込口に落ち葉やホコリが詰まると、十分な風量を確保できなくなります。

外観から見える範囲で軽く掃除する程度であれば問題ありません。

ただし、分解や内部の清掃は故障の原因になるため行わないようにしましょう。


雪が積もっていないか

寒冷地では、吹出口や吸込口が雪でふさがれることがあります。

積雪によって正常に運転できず、能力が低下するケースもあります。

冬場は周囲の除雪も大切なメンテナンスです。


一度リセットしてみる

一時的な制御異常であれば、ブレーカーを利用したリセットで復旧することがあります。

ただし、何度も同じエラーが表示される場合は、根本的な故障が改善していません。

リセットを繰り返すのではなく、点検を依頼しましょう。

エコキュートのリセット方法はこちら


こんな症状があれば早めの点検がおすすめ

次のような症状がある場合は、ヒートポンプの故障が進行している可能性があります。

・何度も同じエラーコードが表示される。

・異音や振動が以前より大きくなった。

・沸き上げ時間が長くなった。

・お湯がぬるい日が増えた。

・電気代が急に高くなった。

・ヒートポンプ周辺から異臭がする。

これらは部品の劣化が進んでいるサインであることも多く、放置すると突然お湯が使えなくなることがあります。


修理と交換はどちらを選ぶべき?

ヒートポンプが故障した場合、多くの方が悩むのが「修理するべきか、それとも交換するべきか」という点です。

一つの目安になるのが、使用年数と修理費用です。

次の表を参考にしてください。

状況おすすめ
使用5年未満・軽微な故障修理がおすすめ
使用5〜10年・修理費が安い修理を検討
使用10年以上・修理費10万円前後交換も比較する
部品供給終了交換がおすすめ

10年以上使用している場合は、今回の修理で直っても別の部品が故障する可能性があります。

そのため、修理費用だけを見るのではなく、「あと何年安心して使えるか」という視点で判断することが大切です。

判断に迷う場合は、次の記事も参考にしてください。

エコキュート故障は修理と交換どっち?迷ったときの判断基準

ヒートポンプを長持ちさせるためのポイント

ヒートポンプユニットは基本的にメンテナンスフリーに近い設備ですが、普段から少し気を付けるだけで故障のリスクを減らせます。

室外機の周囲に物を置かない

ヒートポンプユニットは大量の空気を吸い込み、排出しながらお湯を作っています。

吹出口や吸込口がふさがれると能力が低下し、部品への負担が大きくなります。

植木鉢や自転車、ダンボールなどは近くに置かないようにしましょう。


落ち葉やホコリを定期的に取り除く

吸込口に落ち葉やホコリがたまると風量が不足し、効率が悪くなります。

外から見える範囲を掃除するだけでも十分効果があります。

なお、内部の分解清掃は故障につながる恐れがあるため、自分では行わないようにしてください。


積雪時は吹出口をふさがない

雪が積もる地域では、吹出口や吸込口が雪でふさがれることがあります。

この状態では正常に運転できず、エラーコードが表示される原因にもなります。

冬場は周囲の除雪も忘れずに行いましょう。


異音やエラーを放置しない

「まだお湯が出るから大丈夫」と思って使い続けると、小さな故障が大きな故障へ発展することがあります。

異音や振動、エラーコードが何度も表示される場合は、早めに点検を依頼したほうが結果的に修理費用を抑えられるケースもあります。


よくある質問(FAQ)

Q.ヒートポンプだけ交換できますか?

はい。

故障内容によっては、貯湯タンクはそのままでヒートポンプユニットだけ交換できる場合があります。

ただし、設置年数が古い機種では部品供給が終了していたり、全体交換を勧められたりするケースもあります。


Q.ヒートポンプが故障するとお湯はまったく出なくなりますか?

タンク内にお湯が残っている間は使用できます。

しかし、新しく沸き上げができないため、お湯を使い切ると給湯できなくなります。


Q.ヒートポンプの修理にはどれくらい時間がかかりますか?

軽微な部品交換であれば半日程度で終わることもあります。

一方、ヒートポンプユニット全体の交換になる場合は、部品の取り寄せも含めて数日から1週間程度かかることがあります。


Q.ヒートポンプだけでお湯を作っているのですか?

ヒートポンプがお湯を作り、そのお湯を貯湯タンクに蓄えています。

つまり、「ヒートポンプ」と「貯湯タンク」の両方がそろって初めてエコキュートとして機能します。


Q.ヒートポンプの故障は修理と交換のどちらがおすすめですか?

使用年数や修理費用によって異なります。

設置から5〜8年程度で軽微な故障なら修理がおすすめです。

一方、10年以上使用していて修理費用が10万円前後になる場合は、交換費用も比較したほうが後悔しにくいでしょう。


Q.ヒートポンプは雨の日でも故障しませんか?

ヒートポンプユニットは屋外設置を前提として設計されています。

通常の雨で故障することはほとんどありません。

ただし、台風による飛来物や浸水など、通常を超える環境では故障する可能性があります。


まとめ

ヒートポンプは、エコキュートがお湯を作るための中心となる装置です。

空気中の熱を利用することで、高い省エネ性能を実現しています。

一方で、コンプレッサーやファンモーター、制御基板など複数の部品で構成されているため、使用年数が長くなると故障が発生することもあります。

異音やエラーコード、お湯が出ないなどの症状がある場合は、ヒートポンプの不具合が原因になっている可能性があります。

まずはリセットや周囲の点検を行い、それでも改善しない場合は無理に使い続けず点検を依頼しましょう。

また、10年以上使用していて高額修理が必要な場合は、修理だけでなく交換費用も比較してから判断することをおすすめします。


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このサイトを運営している人

建築・設備分野に携わる技術系サラリーマン。
1級建築施工管理技士・管工事施工管理技士・第二種電気工事士などを保有。
エコキュートの開発経験と実使用(パナソニック→ダイキン)をもとに、現場+ユーザー目線で解説しています。
【無駄な交換をさせない】がモットーです。

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